新人が入った月だけ、急にシフトが不安定になる——多くの飲食店で起きている共通の悩みです。
人数は増えているはずなのに、戦力は逆に不足し、ベテランの負担が増え、シフトが毎週のように崩れます。
しかしこれは「新人が悪い」わけではなく、“新人を迎える設計がない”ことが原因です。
この記事では、新人が入っても崩れない店になるための原因分析と具体的な対策を、飲食店向けにわかりやすく整理します。
新人が入るとシフトが崩れる“典型パターン”
戦力としてカウントしてしまう
新人が入った月に最も起きやすいのが、「まだ戦力になっていない新人を、人数としてカウントしてしまう」ミスです。
たとえば「今月は人が増えたから大丈夫」と考えて、実際にはレベルが足りていない時間帯にも新人を配置してしまうケースが典型です。
人数は増えているのに店が回らないのは、戦力として計算してはいけない段階のスタッフを“戦力扱い”しているからです。
実際には、新人は最初の1ヶ月では補助作業が中心で、ピーク帯で戦力になることはほとんどありません。人数ではなく“使える戦力”で判断しない限り、新人が入るたびにシフトが崩れる構造が続きます。
育成計画がないまま現場任せになる
新人が入ると、多くの店舗で「誰かが教えてくれるだろう」という現場任せの状態になります。
育成担当が決まっていないため、ベテランの負担が増え、教え方も人によってバラバラになり、結果として新人の成長スピードに大きな差が生まれます。
さらに、忙しいから時間帯に新人とベテランが同時に入ると、育成どころか現場が混乱し、店長が予想していたよりも現場が不安定になります。
育成計画を立てないまま新人配置をすると、現場の負担が急増し、シフト全体が崩れる原因になります。
新人比率が上がり一気に不安定化する
新人が数名同時に入ると、それまで安定していた戦力バランスが崩れ、一気に運営が不安定になります。
特に15〜20名規模の飲食店では、新人が3名入っただけでも新人比率が大きく上がり、ピーク帯に入れる戦力が不足します。
新人比率が高いのに配置をそのままにしてしまうと、ベテランに負担が集中し、「このメンバーでは回らない」という時間帯が増えていきます。
新人比率を意識せずに配置することが、崩れの大きな要因です。
原因①「新人のスキルを過大評価してしまう
最初の1ヶ月は“0.3人分”として扱う
新人を「1人分の戦力」としてカウントすると、シフトが崩れるのは当然です。
実際、新人ができることは最初の1ヶ月ではごく限られており、体力・スピード・正確性すべてがベテランとは比較になりません。
そのため、新人は最初の1ヶ月は“0.3人分の戦力”として扱うのが現実的です。
このように戦力を低めに設定しておくことで、必要戦力数を正しく見積もることができ、穴が発生しにくいシフトになります。
「人数が増えた=戦力が増えた」ではなく、「人数は増えたが、まだ戦力にはならない」という前提でシフトを組むことが重要です。
配置可能な業務を明確に制限する
新人に「一通りやってみて」と任せてしまうと、業務の質もスピードも不安定になり、店全体の運営に影響が出ます。
新人が入った月は、担当できる業務を明確に制限し、「この3つだけ」などの範囲を決めておくことが必要です。
例えば、
- 仕込みの一部
- 洗浄
- 簡易的な盛り付け
など、ミスの影響が少ない業務から始めるのが鉄則です。
業務範囲を明確に制限すると、ベテランがフォローしやすくなり、現場の混乱が減ります。また、「ここまでできたら次へ進む」という基準ができ、新人の成長もスムーズになります。
原因②「育成担当と時間を固定化していない」
育成担当=店長以外で固定化する
新人育成を店長だけが担当している状態は、長続きしないうえに新人の成長も遅くなります。店長は全体管理やトラブル対応など、育成に集中できない業務が多いため、どうしても指導が断続的になりやすいからです。
理想は、店舗の中で「育成担当」を1〜2名決め、その人が中心となって新人を育てる体制にすることです。育成担当を固定化することで、教え方のブレが減り、新人が混乱しなくなります。
また、育成担当に任せることでベテランの育成スキルが向上し、チーム全体の成長にもつながります。
毎週同じ時間帯に育成枠を設ける
新人育成で最も大切なのは「育成する時間を固定化する」ことです。
忙しい時間帯に教えると、教える側も教わる側も余裕がなく、成長スピードが極端に落ちます。
そこでおすすめなのが、毎週同じ時間帯に“育成枠”を設ける方法です。
例えば、
- 毎週火曜17時〜19時は育成枠
- 土日のピーク帯には新人を入れない
といった具合に、新人が集中して成長するための時間を確保します。
育成枠が固定されていると、店長も計画的にシフトを組めるようになり、新人の成長スピードも安定します。新人が現場で迷い続ける状況がなくなり、シフト崩れのリスクが大幅に下がります。
原因③「新人割合が増えたときの“崩れ対策”がない」
新人はピーク帯に入れない
新人が複数入った月にシフトが崩れやすい最大の理由は、「新人をピーク帯に入れてしまう」ことです。
ピーク帯は、スピード・判断力・正確性のすべてが求められるため、経験の浅い新人には負荷が大きすぎます。新人が混乱すると、周りのベテランがフォローに回り、全体のパフォーマンスが落ち、店が回らなくなります。
初月は必ず“非ピーク帯のみ”に入れ、できることが増えてから段階的にピーク入りさせる方が結果的に早く育ちます。新人は最初から戦力として扱わず、「慣れるための時間帯だけに入れる」という割り切りが必要です。
新人比率の上限(%)を設定する
新人が多い月ほど、「人数は足りているのに戦力が足りない」状態が発生します。これを防ぐには、シフト全体における新人比率の上限を決めることが効果的です。
例として、
- 全体の20〜25%を新人の上限とする
- ピーク帯は新人比率0%
- ハーフピークは新人比率1名まで
といったルールを設定します。
比率で管理することで、「何となく入れておこう」という曖昧な判断を避けられます。新人比率が高い時間帯はそのまま弱点になるため、上限管理はシフト崩れの予防策として非常に有効です。
必ず1人は“支えるベテラン”を同時配置
新人が現場に入る時は、必ず「新人を支えられるベテラン」とセットで配置する必要があります。新人だけで固まると、業務の質が安定せず、ミスが増え、ベテランが遠くからフォローする体制になり、結果的に現場全体の負担が増えます。
一方、ベテランが近くにいると、新人は安心して作業でき、ミスが起きてもすぐにリカバリーできます。これは新人のメンタル安定にも大きく影響します。
新人が入る月ほど、「新人1名につき、支えるベテラン1名」が鉄則です。
新人が入っても崩れない店にするための仕組み
スキルマップで成長を見える化
新人が入ると現場が不安定になる最大の理由は、「新人が何をどこまでできるのか」が曖昧なまま運用されるためです。
これを解消するためには、スキルマップを使って“できること/できないこと”を明確に見える化することが最も効果的です。
スキルが見えると、
- 今月はどの業務まで任せられるのか
- 次に育成すべき業務はどれか
- ピーク帯に入れてよいか
などの判断が正確になります。
新人の成長状況を感覚ではなくデータで把握できるため、配置のミスが減り、ベテランの負担も軽減されます。
配属ルールを固定化
新人配置に“毎回の店長判断”が入ると、属人化が起き、判断のブレが生まれます。
これを防ぐには、新人の配属ルールをあらかじめ固定化しておくことが重要です。
例えば、
- 初月はピーク帯禁止
- 配属ポジションは3種類まで
- 新人比率は時間帯の上限を守る
- 必ずベテランを隣に配置する
など、明文化されたルールがあるだけで、シフト作成が劇的に楽になります。
「どう入れるか」ではなく「ルールどおりに配置する」だけの状態にすることが、崩れない店づくりの基本です。
1ヶ月ずつ“戦力進捗”を見直す運用
新人は1ヶ月ごとにスキルが大きく変化するため、定期的に“戦力としてどれくらい成長しているか”を見直す必要があります。
成長が早ければ配置を一段階引き上げられますし、成長が遅い場合は育成枠を増やすなどの対策が必要です。
毎月進捗を確認することで、
- 戦力の過大評価
- 配置のミスマッチ
- ベテランの負担増加
などを未然に防げます。
新人が入っても崩れない店は、この“戦力進捗の定期確認”を必ず仕組みに組み込んでいます。
まとめ
新人が入った月だけシフトが崩れるのは、「新人が原因」ではなく、“新人を迎え入れる仕組みがない”ことが本質的な問題です。
人数が増えても、実際の戦力が増えていなければシフトは必ず不安定になり、ベテランに負担が集中し、店舗全体が疲弊します。
この記事で解説したように、崩れを防ぐための鍵は以下の3つです。
- 新人を戦力としてカウントしない(初月は0.3人扱い)
人数ではなく実際の戦力でシフトを組むことで、ピーク帯の崩れを防げます。 - 育成担当・育成時間を固定化する
現場任せの育成は成長を遅らせ、シフト不安定の要因になります。
教える人・教える時間を仕組み化することで、新人が安定して育ちます。 - 新人割合と配属ルールを一定にする
新人比率の上限、ピーク帯禁止、必ずベテランとセットなど、
「新人をどう扱うか」のルールを明示すると、誰が作っても崩れないシフトになります。
さらに、スキルマップで成長を見える化し、1ヶ月ごとに戦力進捗を見直すことで、
新人が入るたびに強い組織へ近づいていきます。
新人が入った月に崩れるか、逆に戦力が整って強い店になるかは、
仕組みの有無だけで決まります。
明日から取り組む第一歩は、
「新人の業務範囲を3つに絞り、担当ベテランを1名固定すること」。
これだけでも現場の安定度は大きく変わります。
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