シフト作成に毎月何時間もかかっていませんか。
多くの店長が「自分の作業スピードが遅い」と思いがちですが、実際は“個人の能力”ではなく、“シフト作成の仕組みそのもの”にムダが潜んでいます。
情報整理、判断基準、調整方法——この3つが曖昧なままだと、誰が作っても遅くなります。
この記事では、シフト作成が遅い店長に共通する5つのムダと、その改善手順を具体的にまとめます。
シフト作成が遅くなる店の共通点
情報が散らばっている
シフト作成が遅い店でまず見られるのが、「必要な情報が一つにまとまっていない」という状態です。希望休はLINE、スキル情報は頭の中、固定シフトは紙、前月のデータは別ファイル…というように、情報源がバラバラだと探す手間が増え、作成に大きな時間が奪われます。情報が散乱していると、確認作業が増え、判断ミスも起こりやすくなります。シフトが遅くなる根本原因の多くは、作業開始時点で“材料が揃っていない”ことにあります。
ルールが曖昧で迷いが多い
「誰を休みにするか」「どのポジションに誰を入れるか」など、判断の基準が曖昧な店ほど作成時間が伸びます。ルールがないため、毎回その場で考えてしまい、判断が迷い続けるからです。さらに、スタッフによって解釈が違い、「今回は特別に」「この日は融通してほしい」などの例外が増えると、調整の手間が一気に膨らみます。ルールの曖昧さが、シフト作成の遅延を生む最大の要因です。
必要人数が決まっていない
必要人数を決めないままシフト作成を始めると、ほぼ確実に時間がかかります。本来は「時間帯×曜日」で必要人数が決まっているべきですが、これが曖昧な店では、毎回感覚で人数を当てはめるため、配置の見直しが何度も発生します。必要人数が明確になっていないと、埋めた後に「やっぱり足りない」「この日は多すぎる」などのリセット作業が起き、作成時間が倍増します。
希望休の制限がない
希望休を無制限に受けている店ほど、シフト作成が困難になります。全員の希望をすべて反映しようとすると、必要人数を満たせない日が増え、そこから穴埋め作業が発生し、結果的に作成時間が大幅に延びます。希望休は“無条件承認”ではなく、“運用ルールの一要素”として扱うべきものであり、制限がない状態では作業効率が悪化します。
ベテラン依存で穴埋めが必要
ベテランに依存した運営をしている店は、シフト作成に時間がかかります。ベテランが担当している作業が多いため、その人の休みや都合に合わせて毎回調整をしなければならないからです。「この日はAさんがいない」「Bさんがいないと回らない」といった状況が続くと、必ず調整回数が増えます。これはスキルの属人化が原因で、放置すればするほど作成時間は伸びていきます。
シフト作成のムダ①「集めるムダ」
情報源を1つに統一する
シフト作成で最初に発生するムダが「情報を集める時間」です。希望休はLINE、固定シフトは紙、前月のシフトは別フォルダ、スキル情報は店長の頭の中…このように情報源が散らばっている店は、作業前の準備だけで大きく時間を失います。まずは、“すべての情報を一つのシート（もしくは一つのツール）に集約する”ことが最重要です。たったこれだけで、探す時間がゼロになり、作業開始までのストレスも激減します。どれだけシフト作成の技術を磨いても、そもそも情報が散乱している環境では時短は不可能です。
提出期限は絶対ルールにする
希望休の提出が遅れると、シフト作成者は何度も作業をやり直さなければならず、“二度手間・三度手間”が発生します。これが「集めるムダ」の典型例です。提出期限を曖昧にすると、毎月誰かしら遅れてきて、作業にブレーキがかかります。最短で効率化するには、「○日までに提出がなければ考慮しない」という明確なルールを作ることが必要です。提出期限が固定されることで、希望休の回収がスムーズになり、作成側のストレスも大幅に減ります。提出期限は“守らせるもの”ではなく、“守らなければ店が回らないもの”として扱います。
ムダ②「考えるムダ」
勤務設計のテンプレート化
シフト作成が遅い店ほど、“毎月ゼロから考えている”状態にあります。必要人数、役割の割り振り、時間帯の配置をその場で考えるため、判断ポイントが多くなり、迷いが増えてしまいます。これを解消するためには、「勤務設計のテンプレート」を作ることが有効です。例えば「朝はAポジションに2名、昼ピークはBポジションに1名固定」など、基本構造をテンプレ化しておくことで、考える作業が減ります。テンプレートがあれば、変更が必要な部分だけに集中できるため、作業スピードが飛躍的に向上します。店長以外が作成する場合もブレが出にくくなり、属人化も防げます。
配置優先順位の固定化
考えるムダを減らすもう一つの方法が、「配置の優先順位」を固定化することです。例えば、①必要人数を満たす、②重要ポジションにスキルレベルの高いスタッフを置く、③全体のバランスを取る、というように優先順位を先に決めておきます。これによって、配置を考える際の迷いや判断の揺れがなくなり、スムーズに決定できます。また、優先順位が明確だと、スタッフからの要望や例外にも冷静に対処でき、「今回は優先順位③なので難しい」といった説明もしやすくなります。迷いを減らす仕組みは、結果として作業時間の大幅削減につながります。
ムダ③「調整のムダ」
調整が必要なパターンを削減する方法
シフト作成が遅くなる最大の理由の一つが「調整の多さ」です。希望休が集中している、必要人数が足りない、スキルが偏っている——これらが重なると、配置を組む前から“調整前提”の作業になってしまいます。調整を減らすには、まず“調整が必要になる原因そのもの”を削ることが重要です。例えば、希望休の上限を月3日に設定する、繁忙期は提出制限を設ける、固定シフトを決めておくなど、事前にルールを整えることで調整頻度が激減します。調整を減らす＝店長の作業時間を減らす、という構造であることを認識しておく必要があります。
希望休と固定シフトの最適バランス
調整作業を減らすうえで欠かせないのが、「希望休と固定シフトのバランス」を最適化することです。希望休が多すぎると必要人数を満たせず、固定シフトが強すぎると柔軟性が失われます。理想は、固定シフトで“店を回す基盤を作り”、残りの出勤枠を希望休の状況に合わせて調整する形です。
例えば週40枠のうち25〜30枠を固定し、**残りの10〜15枠を“誰が出勤するかを希望休の状況を踏まえて調整する”**という運用です。固定で基盤を作っておけば、必要人数と戦力が確保された状態になり、そのうえで希望休とのバランスを取るだけなので、調整の手間が大幅に減ります。
このバランスは店舗によって多少変わりますが、基本原則は「固定シフトで土台を作り、希望休はその範囲内で調整する」という考え方です。
ムダ④「探すムダ」
情報の置き場所を統一
シフト作成において意外と大きなロスになるのが、“探す時間”です。希望休のメッセージを遡ったり、前月のシフトを別フォルダから探したり、スタッフごとのスキル状況を記憶で補完したり——これらはすべて「探すムダ」です。これを削減するには、情報の置き場所を統一することが必須条件です。例えば、希望休・固定シフト・スキルレベル・前月の反省点などをすべて一つのシートにまとめておくと、作成時に必要な情報を一瞬で取り出せます。情報が一箇所に集まっているだけで、探す時間はゼロになり、作業スピードは劇的に向上します。
スキルマップで“誰ができるか”を瞬時に把握
探すムダを減らすうえで非常に役立つのがスキルマップです。誰がどのポジションをどのレベルで担当できるかを一覧化しておけば、配置に迷う時間がなくなります。特にピーク帯に必要なスキルや、代わりが少ないポジションは、スキルマップで可視化しておくことで「この時間帯は誰を入れるべきか」が瞬時に判断できます。
これを頭の中で管理していると、判断が店長一人に依存し、店長にしか分からない“属人化シフト”になってしまいます。店長がいないと作れないシフトは、作業スピードが遅いだけでなく、運営リスクも高い状態です。スキルマップを共有化すれば、“誰でも同じ判断ができる”環境が整い、属人化を防ぎながら作業時間も大幅に短縮できます。
ムダ⑤「修正のムダ」
月次で改善点を記録
シフト作成の「修正のムダ」は、毎月同じ問題を繰り返すことで発生します。必要人数のズレ、希望休の偏り、特定ポジションの人手不足など、毎月の反省点が記録されていないと、翌月もゼロから見直す羽目になります。これを避けるには、シフト作成後に「どこが大変だったか」「どこで調整が発生したか」を簡単に記録しておくことが効果的です。記録は1〜2行でも十分で、重要なのは“振り返りを習慣化すること”です。改善点が蓄積されれば、毎月の修正量が確実に減り、作業スピードが大幅に向上します。
翌月のテンプレートに反映
改善点を記録したら、必ず翌月のテンプレートに反映させます。多くの店長が「記録はしているが反映していない」という状態に陥りがちで、これでは効果が半減します。例えば「この時間帯はレベル2がもう1人必要だった」「希望休の提出が遅れたので期限を見直す」など、気づいた点をテンプレートそのものに組み込むことで、翌月の作成が格段に楽になります。“問題が起きた場所をその場で修正する”という仕組みさえ整えば、毎月の修正作業は激減し、改善サイクルが自然に回り始めます。テンプレート更新は、効率化の中でも最も即効性が高い方法です。
まとめ（最短で効率化する手順）
“情報集約→ルール化→テンプレ化”が最速ルート
シフト作成を最短で効率化するための本質は、作業スピードを上げることではありません。「ムダを先に消し、判断の迷いをなくすこと」です。そのために最も効果が高い順序が、情報集約→ルール化→テンプレ化という流れです。
まず、分散している情報を1つにまとめると、探すムダがゼロになります。次に、希望休・必要人数・配置優先順位などをルール化すると、迷う場面が激減します。そして最後に、勤務設計や配置の基本型をテンプレート化することで、毎月の作成が“調整するだけの作業”に変わります。
この3つを実行するだけで、シフト作成にかかる時間は驚くほど短くなり、属人化も同時に解消できます。最短で効率化したい店長ほど、この順番に取り組むことをおすすめします。
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