「休みたい人が多い店」は、決して悪い状態ではありません。
問題は“休みの多さ”ではなく、“休みを受け止める設計が無いこと”です。
休日設計が曖昧なまま希望休を受け続けると、シフト作成は毎月ギリギリになり、負担は一部の人に偏り、現場の空気も悪化します。
この記事では、休みが多い店でも崩れないための「休日設計」の考え方を、感覚ではなく“再現性のある仕組み”としてわかりやすく整理します。
休みが多い店で起きがちな悪循環
人数が足りず、シフト作成者が苦しくなる
休みを多く受け入れている店では、まず「必要人数が埋まらない」という問題が起こりやすくなります。特に、提出された希望休をすべて承認してしまう運用を続けると、シフト作成者は毎月“穴埋め前提”で考えざるを得ません。
本来は、必要人数を基準に配置を組むべきところが、希望休を優先して考えるために、後半になるほど苦しくなります。さらに、人数不足の月が続くと「またギリギリだ…」という精神的負担が蓄積し、作成者のモチベーションも低下します。
仕組みではなく“調整力”に依存する状態が続くことが、悪循環の始まりです。
埋められる人に負担集中
休み希望が多い店では、結果として「埋められる人」が固定化され、その人たちに負担が集中しやすくなります。特に、勤務可能時間が広い人やスキルが高い人が、無意識のうちに穴埋め役になっていきます。
これは本人が積極的に働きたいわけではなく、単に“対応できるから”という理由だけで負担が偏る構造です。続けていると、「なぜ自分だけ?」という不満が溜まり、関係性の悪化や離職につながるリスクがあります。
希望休の運用に明確なルールがない店ほど、この偏りが強く出る傾向があります。
新人が育ちにくく、また休みが増える
勤務が偏ると、必然的に新人の出勤機会が減ります。本来は新人を育てて“戦力を増やして休める構造”を作るべきところが、負担を避けるために新人のシフトを軽めにしがちです。
すると、新人はスキルが伸びず、任せられる業務が増えないため、またベテランに負担が戻るという悪循環が起こります。さらに、新人が自信を持てないまま勤務が続くと「休みたい」という気持ちが強くなり、結果的に休み希望者がさらに増えるケースもあります。
これが、休みが多い店で徐々に崩れていく典型的なパターンです。
休日設計を「感覚」ではなく「設計」に変える
まず“月間の必要勤務数”を決める
休日設計の出発点は、「スタッフごとに月に何日働いてもらう必要があるのか」を明確にすることです。多くの店では、希望休を受け取ってから勤務日数を調整していますが、これは毎月のブレを大きくし、負担の偏りを生みます。
最初に必要勤務数を決めておけば、希望休が多い月でも“最低限確保すべき勤務量”が揺らがないため、シフトが崩れにくくなります。
例えば「学生は月8日以上、主婦は月10日以上、フルタイムは月20日以上」といった基準を決めるだけでも、希望休の調整が一気に楽になります。まずは店舗側の必要数を定義し、その上に希望休を組み込む考え方が重要です。
アルバイトと社員で別指標にする
勤務形態が異なるスタッフを同じ指標で管理しようとすると、必ず無理が生じます。特に、社員とアルバイトでは勤務時間の柔軟性は大きく違うため、休日設計も分けて考える必要があります。
社員は「月〇時間勤務」「月〇日休日」といった固定の働き方が基準になりますが、アルバイトは「週〇日勤務」「月〇日以上の稼働」など、より幅を持たせた基準の方が現実的です。同じ枠組みで扱うと、社員は過剰に休めず、アルバイトは逆に休み過ぎになるなど、双方にとって不公平が生まれます。
働き方に応じて別々の指標を設計することが、現場の運用安定につながります。
基準がない店は属人化に必ず陥る
休日設計に基準がない店では、シフト作成者の経験や勘が判断軸になり、必ず属人化が発生します。
ここでいう属人化とは、「特定の人の頭の中にしか基準がなく、その人にしか作れない状態」を指します。
作成者が変わると調整の仕方が変わり、「この店長のときは休めたのに」「前のリーダーのほうが優しかった」といった不満が生まれやすくなります。
逆に、勤務数・休み枠・希望休の扱いを明文化しておけば、誰が作成してもほぼ同じ結果になります。これは店長の負担軽減だけでなく、現場全体の安心感にもつながります。
休日設計に基準がない状態は、短期的にはなんとか回りますが、長期的には崩れることが確定している危うい運用です。基準化することが、安定した店づくりの第一歩です。
休み希望が多い月に崩れない運用
繁忙期と閑散期で休み枠を調整する
休み希望が多い月でも運用を崩さないためには、「繁忙期」と「閑散期」で休み枠を変えることが効果的です。常に同じ基準で運用しようとすると、繁忙期は人が足らず、閑散期は逆に休みを取り切れないスタッフが出るなど、バランスが崩れます。
たとえば、12月や大型連休などの繁忙期は「希望休は1人あたり1〜2日まで」とし、その代わり、1月や2月などの閑散期は「希望休を多めに受け入れる」など、メリハリのある基準にします。
繁忙期と閑散期を区別するだけで、店舗運営とスタッフ満足の両立がしやすくなります。
希望休は“全承認”ではなく“優先順位制”
提出された希望休をすべて承認しようとすると、ほぼ確実にシフトが崩れます。希望休は「受けるもの」ではなく、「優先順位をつけて調整するもの」と捉えたほうが公平性が保たれます。
たとえば、提出順・勤務実績・週の勤務時間など、いくつかの要素から優先順位をつける方法があります。これにより、希望が多い月でも「誰かの希望が完全に無視される」状態を避けられます。
また、優先順位制は店長が“審査”するのではなく、基準に沿って自動的に決まるため、納得度も高まりやすい運用です。
突発休みの吸収力をあらかじめ設計する方法
休み希望が多い店ほど、突発休みに弱くなります。もともとギリギリで回っているため、誰かが急に休むと一気に崩れるからです。
これを防ぐには、「突発休みに対応できる余白」を最初からシフトに組み込むことが必要です。具体的には、ピーク帯以外は“補助的に動けるメンバー”を配置したり、毎週数名だけ“急な代打ができる人”を決めておくなどの方法があります。また、突発休みが続く時期は、休み枠を少し引き締めておくと崩れにくくなります。
突発休みは避けられない前提で、吸収力のある設計を用意しておくことが重要です。
休みたい人が多い店での“3つの対策戦略”
シフトの“貢献度スコア化”
休みたい人が多い店ほど、「誰がどれだけ貢献しているか」が見えにくくなり、不公平感が生まれやすくなります。そこで有効なのが、シフト貢献度を数値化する“スコア化”です。
例えば、繁忙帯に入った回数、穴埋めに協力した回数、固定ポジションを担当した回数などをポイント化し、月ごとに可視化します。スコア化すると、勤務量や負担の偏りが客観的に見えるようになり、スタッフ同士の不満も減ります。また、スコアが一定以上の人は希望休を優先しやすくするなど、運用につなげやすい仕組みも作れます。
感覚で「誰が頑張っているか」を判断する時代は終わり、数字で公平性を示すことが求められています。
休みを均等化する“勤務配分表”
休み希望が集中する店舗ほど、全員の勤務日数に差が出やすくなります。その差をなくすためには、月ごとに“勤務配分表”を作り、全員の勤務日数や休日日数を見える化する方法が有効です。
勤務配分表を作ることで、「この人は今月休みが多い」「この人は勤務が詰まりすぎている」といった偏りを事前に察知できます。また、配分表を基にスタッフと面談し、調整をすることで、納得感のある働き方を実現できます。
勤務配分表は、店全体のバランスを取るための根幹であり、希望休の集計前に作ることで、シフト崩壊のリスクを大幅に減らせます。
戦力を育てて“休める構造”にする
休みたい人が多い店で最も重要な戦略は、「休める構造づくり」です。スタッフのスキルが増え、任せられる作業が多いほど、店舗全体の“休日許容力”は高まります。逆に、戦力が少ない店では、誰かが休むだけで一気に崩れます。
まずは新人の育成に投資し、特定の人にしかできない作業を減らすことが必要です。
また、ポジション×レベルを明確化し、「このレベルになったらこの仕事を任せられる」という基準を作ると、育成が加速します。戦力が増えれば、店全体が休みを受け止められるようになり、希望休が多くても崩れない強い現場になります。
現場がすぐにできる改善アクション
次の1ヶ月だけ“休み枠の上限”を決めてみる
まずは、完璧な制度を整える必要はありません。最初の一歩として、次の1ヶ月だけ「休み枠の上限」を仮で設定してみることが効果的です。
例えば、「1人あたり希望休は3日まで」「土日の希望休は1人1日まで」など、店舗の状況に合わせて簡単に決めるだけで構いません。重要なのは、ルールを一度作ってみることで、どこが機能し、どこが改善すべきかが見えるようになることです。
試験運用として上限を決めるだけでも、シフト作成が安定しやすくなります。スタッフにも「今月だけ試してみます」と伝えることで、反発を避けながら導入できます。
貢献度スコアを簡単に付けてみる
次のアクションとしておすすめなのが、貢献度を“簡易スコア化”することです。本格的にポイント制度を導入する必要はなく、「繁忙帯に入ったら1点」「急な穴埋めをしたら1点」など、簡単な評価項目を作るだけで十分です。
スコアが見えると、誰がどれだけ協力しているかが明確になり、希望休の調整もしやすくなります。また、店長自身がスタッフの努力を把握できるため、適切な声かけや評価につなげることもできます。
まずは紙やスプレッドシートで記録してみるところから始めると、すぐに現場で活用できます。

コメント